高次脳機能障害の等級例 F, 9級10号

脳神経外科・心療内科 北見クリニック北見公一医師「自算会の高次脳機能障害認定基準についての私見」より引用

 X年11月7日乗用車運転中、他車と衝突し受傷。詳細不明だがしばらく意識消失あり。頭部CT、MRI上脳梁膨大部と左全頭葉皮質下に脳挫傷が見られた。
 一週間後に意識は回復。約1ヵ月後に退院したが、その後も記銘力(短期記憶)障害があり、特に聴覚記銘が低下していた。
 本人は職場復帰し仕事をこなしているが、以前よく通っいたある場所(起点)からある場所(終点)までの道順がつながらないという。また聞いたことはすぐメモしないと不安であるという。
 X+2年心理検査ではWAIS-RでVIQ89、PIQ113、総合99で一応平均値となっているが、サブテストでは知識の項目が極端に低く、言語性検査の設問に対し繰り返しの提示を求めることが多かった。また会話中の物忘れもあり、一度聞いて覚えられず繰り返しで覚えることがあった。
 この症例は受傷直後のMRIで脳挫傷が確認できており、最近のCTで軽度の脳萎縮が見られること、および心理検査の結果から高次脳機能障害であることは明らかであるが、本人が職場にばれることを恐れ、等級認定を受けていない。
 逆に言えばこれまでの仕事を何とか遂行することが出来るわけで、等級をつけるとすれば9級10号で異論のないところであろう。