後遺症12級(示談) → 7級(判決)へ昇級の朗報

 平成25年5月25日東京地裁判決を御紹介します。
 自保ジャーナル(自動車保険ジャーナル社発行)No.1902, 2013.9.26,P59-69,に掲載されました。
 「示談成立内容は12級にとどまり、けいれんから7級高次脳機能障害への効力は及ばない等として7級後遺障害慰謝料710万円、近親者分固有慰謝料45万円認めた」という見出しが付いています。
 一旦、被害者(原告)が保険会社との間で自賠責後遺症逸失傷害12級を前提に和解して和解金860万円を受領しましたが、その後のけいれん発作等があり自賠責7級4号高次脳機能障害認定を受ける事案について、33,558,184円の賠償金の支払いを命じる判決を獲得したのでした。
 この判決は被告側から控訴が無く、確定しています。

判決要旨

@平成14年6月発生の事故で、びまん性軸索損傷疑いのあった23歳男子が平成16年11月自賠責12級12号で本件示談後の平成19年1月にけいれん発症、自賠責7級4号高次脳機能障害認定を受ける事案につき、「びまん性軸索損傷を疑われて経過観察を受け、精神症状を訴えて薬物療法等を受けていた中、被告保険会社がした事前認定の手続において、高次脳機能障害としての評価ではなく神経症状としての評価依頼に基づいて判断された後遺障害等級表12級を前提として示談が進められたこと、本件事故発生後約2年5ケ月が経過した後に本件示談が成立し、示談金額は既払金162万9,100 円のほか860万円にとどまること、本件示談が成立してから数年後にけいれんが出現するなど原告の症状が増悪し、本件示談が成立してから約6年後に高次脳機能障害について後遺障害等級表7級と判断されたことが認められる。これらの事実に照らすと、本件示談成立当時、原告について高次脳機能障害の症状が発症・増悪するか、症状固定の見込時期はいつか、残存する後遺障害がどの程度になるか等を予想することは困難であったというべきである。そうであるとすれば、本件示談が高次脳機能障害による損害を含めて合意されたものと解することはできず、後遺障害等級表12級の右上肢脱力と知覚障害による損害について合意されたにとどまると解するのが相当であって、高次脳機能障害による損害にまで本件示談の効力は及ばないというべきである」と認定した。

A本件示談の「平成16年11月25日までに発生した治療費、入院付添費、入院雑費及び通院交通費については、本件示談の効力が及ぶものとして被告らの賠償責任は消滅するというべきである。本件示談成立の日の翌日である平成16年11月26日から高次脳機能障害の症状固定日である平成22年4月9日までの次の治療費及び通院交通費については、本件示談の効力は及ばず、本件事故と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である」と認定した。

B12級認定での本件示談金とは別に傷害慰謝料分90万円、後遺障害慰謝料分710万円と「本件事故の態様、原告の後遺症の程度、原告の過失の程度(過失割合10%)その他一切の事情を考慮すると、原告の両親である原告父及び原告母の固有の慰謝料を各45 万円と認めるのが相当である」と近親者慰謝料を認定した。
以上