高次脳機能障害症状の原因が、3ヶ月前のクモ膜下出血なのか、交通事故なのかが争われた事例

 交通事故によらなくても、クモ膜下出血によって高次脳機能障害が生じることもあります。クモ膜下出血の病歴のある方が、交通事故に遭遇した場合、高次脳機能障害の別症状が新たに出現するという状況もありえます。その場合、例えクモ膜下出血がかなり回復していたとしても、自賠責等級認定や裁判においては、クモ膜下出血と交通事故後遺障害との鑑別診断の問題と、損害賠償の素因減額の問題が生じます(損害の原因の一部が、元々の非外傷性のクモ膜下出血にあるとして減額される)。

 本件は、被害者がクモ膜下出血を発症した僅か3ヶ月後の交通事故の事例となります。自賠責認定においても、裁判においても、被害者の後遺症とクモ膜下出血との関係が疑われましたが、診断書を依頼した専門医の「交通事故前の画像では側脳室の拡大はない。一方、事故後では側脳室など脳室の拡大が目立っており、脳外傷による皮質下のびまん性の萎縮があるものと推定される。」との鑑別診断により、交通事故による高次脳機能障害5級の認定を獲得することができました。
 なお、裁判においては、事故によって高次脳機能障害の最大の特徴である「びまん性の脳実質の萎縮」を発症したことは間違いないが、事故前のクモ膜下出血の影響も少し残存していると判断され、10%のみ素因減額されています。

被害者データ

後遺障害症状

事故態様

損害賠償額

入通院付添費約200万円
休業損害約1300万円
逸失利益約2000万円
入通院慰謝料約300万円
後遺障害慰謝料    約1400万円
その他約900万円
小計約6100万円
▲素因減額10%
▲過失相殺20%

ポイント

弁護士費用